向かって右側
妙典寺の守護神をお祀りしています。
(1)中央の宮殿(くうでん)
鬼子母神(きしぼじん)と十羅刹女(じゅうらせつにょ)。
鬼子母神は一般には子供の守り神として知られている。
法華経第26章の陀羅尼品(だらにほん)で、鬼子母神は10人の羅刹女が法華経の行者を守護する誓いを唱える場面が説かれている。そのため多くの日蓮宗寺院では鬼子母神を祀っているが、その形態は様々。日蓮宗僧侶が祈祷を行う場合は、法華経の守護のもとに施主の願いが叶うよう、中心に鬼子母神像を安置することもある。宮殿の中の鬼子母神像は子供を抱いた子安(こやす)形。
(2)宮殿右側の厨子(ずし)内
こちらも鬼子母神であるが、このお像は法華経の行者を守護するにあたり、相手が畏怖(いふ)の心を抱くよう鬼形(きぎょう)となっている。
(3)清正公(せいしょうこう)
戦国武将の加藤清正公。永禄5年(1562)-慶長16年(1611)6月24日。
熱心な法華経の信者であり、九州一円に信仰を広めた。領主として肥後(熊本)を統治するだけでなく土木・治水工事にも長け、農業行政にも力を発揮して田畑を開墾。そのため民衆からも慕われ、親しみを持って「せいしょこさん」と称されている。武将であることから武勇・武道、そして勝負事の神としても信仰を集めている。
(4)大黒天(だいこくてん)
福徳円満の神。室町期以降、多くの日蓮宗寺院で祀られるようになった。
その功徳は「楽を得、福を与え、良薬を与え、智者となし、長命となし、善心となす」と云われる。
妙典寺では平成24年春、住職が三回目の荒行を成満した事を機会として奉安し、「得船(とくせん)大黒」と命名。法華経第23章、薬王菩薩(やくおうぼさつ)本事品(ほんじほん)に説かれる「渡りに船を得たるがごとく」という経文に由来する。